オーディオ
クライアントオーディオマッピングにより、Citrix Virtual Apps and DesktopsサーバーまたはCitrix DaaSサーバー上で実行しているアプリケーションのサウンドを、ユーザーデバイスにインストールされているサウンドデバイスで録音および再生できます。クライアントオーディオマッピングは、ポリシーを使用して構成できます。詳しくは、Citrix Virtual Apps and Desktopsのドキュメントを参照してください。
オーディオ録音のサポート
バージョン2212以降、オーディオ録音機能はデフォルトで有効になっています。セッションが開始されると、オーディオを録音するデバイスが表示されます。
この機能を無効にするには、wfclient.ini
ファイルでAllowAudioInput
の値をFalseに設定します。
注:
- [基本設定] ダイアログボックスの [マイクとWebカメラ] オプションは、デフォルトでは無効です。マイクとWebカメラを有効にする方法については、「基本設定」を参照してください。
複数のオーディオデバイスのサポート
バージョン2112以降、module.ini
ファイルのVdcamVersion4Support
属性の名前がAudioRedirectionV4
に変更されました。バージョン2212以降、AudioRedirectionV4
のデフォルト値はTrueに設定されています。次のような結果になります:
- PulseAudioライブラリはオーディオデバイスへのアクセスに使用され、追加のデバイスがサポートされています。
- 一度に複数のアプリがオーディオデバイスを使用できます。
- Citrix Workspaceアプリは、セッションで使用可能なすべてのローカルオーディオデバイスを表示します。Citrix HDX Audioの代わりに、それぞれのデバイス名で表示されるようになりました。セッション中のアプリでオーディオデバイスを選択できます。または、セッション中にデフォルトのオーディオ デバイス(クライアントマシンのデフォルトのオーディオデバイスでもある)を使用することもできます。必要に応じて、クライアントマシンのシステム設定からデフォルトのオーディオデバイスを変更できます。クライアントマシンのデフォルトのオーディオデバイスが更新されると、新しいデバイスがセッションのデフォルトのオーディオデバイスとして表示されます。
- オーディオデバイスを接続または削除すると、セッションは動的に更新されます。
AudioRedirectionV4
の値をFalseに設定した場合 :
- ALSAライブラリはオーディオデバイスへのアクセスに使用され、単一のデバイスのみがサポートされます。
- セッションには、「Citrix HDX Audio」という名前のスピーカーとマイクが1つだけあります。これは、クライアント側のデフォルトのデバイスに対応します。
- Citrix HDX Audioデバイスを一度に使用できるアプリは1つだけです。
AudioRedirectionV4
をFalseに設定するには、次の手順を実行します:
-
<ICAROOT>/config
フォルダーに移動し、module.ini
ファイルを開きます。 -
[ClientAudio]セクションに移動し、次のエントリを追加します:
AudioRedirectionV4=False
- 変更を保存するには、セッションを再起動します。
既知の制限事項:
デフォルトでは、AudioRedirectionV4
の値はTrueに設定されています。AudioRedirectionV4
の値がTrueに設定されている場合、次の既知の制限が存在します:
- root権限でコマンドラインインターフェイスからセッションを起動する場合、PulseAudioサーバーに接続しようとすると、接続が拒否されることがあります。この場合、オーディオ デバイスは、単一のデバイスのみをサポートするALSAライブラリの使用を開始する可能性があります。
AudioRedirectionV4
の値をFalseに設定している場合、次の既知の制限があります:
- セッションでオーディオデバイスの選択を変更することはできません。選択は、デフォルトのオーディオ入力および出力のみに設定されます。この制限は、
AudioRedirectionV4
の値をTrueに設定すると解消されます。 - オーディオデバイスのリダイレクトは、BluetoothおよびHDMIオーディオデバイスではサポートされていません。この制限は、
AudioRedirectionV4
の値をTrueに設定すると解消されます。
AudioRedirectionV4
の値がFalseの場合、デフォルトのオーディオデバイスは、一般的にはシステムに対して構成されているデフォルトのALSAデバイスです。次の方法を使って、別のデバイスを指定します。
- 変更を適用するユーザーの構成ファイルを選択して開きます。ほかのユーザーに適用される特定の設定ファイルを更新する方法については、「デフォルト設定」を参照してください。
-
次のオプションを追加して、必要に応じてセクションを作成します:
[ClientAudio] AudioDevice=\<device\> <!--NeedCopy-->
このセクションで、デバイス情報は、オペレーティングシステム上のALSA構成ファイルにあります。
注:
この情報の場所は、すべてのLinuxオペレーティングシステムでの標準ではありません。Citrixではこの情報の場所について、使用されているオペレーティングシステムのドキュメントを確認することをお勧めします。
オーディオ品質の強化
これまでは、Citrix Workspaceアプリでオーディオをスムーズに再生するための最大出力バッファリング値は200ミリ秒でした。この値により、再生時には200ミリ秒の遅延が追加されていました。この最大出力バッファリング値は、インタラクティブオーディオアプリケーションにも影響を与えていました。
この機能拡張により、Citrix Workspaceアプリの最大出力バッファリング値が50ミリ秒に低減され、インタラクティブオーディオアプリケーションのユーザーエクスペリエンスが向上しました。また、ラウンドトリップ時間(RTT)が150ミリ秒短縮されました。
バージョン2207以降、適切な再生しきい値とパルスオーディオプリバッファを選択して、オーディオ品質を向上させることができます。この機能拡張向けに、次のパラメーターがmodule.ini
ファイルの [ClientAudio]セクションに追加されています:
-
PlaybackDelayThreshV4
– 出力バッファリングの初期レベルをミリ秒単位で指定します。Citrix Workspaceアプリは、セッション継続中、このレベルのバッファリングを維持しようと努めます。PlaybackDelayThreshV4
のデフォルト値は50ミリ秒です。このパラメーターは、AudioRedirectionV4
がTrueに設定されている場合にのみ有効です。 -
AudioTempLatencyBoostV4
– オーディオスループットが急上昇した場合、または不安定なネットワークに対して十分でない場合、この値によって出力バッファリング値を増加させます。出力バッファリング値の増加により、スムーズなオーディオが提供されます。ただし、音声が若干遅れる場合があります。AudioTempLatencyBoostV4
のデフォルト値は100ミリ秒に設定されています。このパラメーターは、AudioRedirectionV4
がTrueに設定され、AudioLatencyControlEnabled
がTrueに設定されている場合にのみ有効です。デフォルトでは、AudioLatencyControlEnabled
の値はFalseに設定されています。
オーディオエコーキャンセルのサポートの向上
2303バージョン以降、Citrix Workspaceアプリではエコーキャンセルがサポートされます。この機能はリアルタイムのユーザーケース向けに設計されており、ユーザーエクスペリエンスを向上させます。エコーキャンセル機能は、低品質、中品質、およびアダプティブオーディオをサポートします。パフォーマンスを向上させるために、アダプティブオーディオを使用することをCitrixではお勧めします。
デフォルトでは、エコーキャンセル機能は無効になっています。リアルタイムのユーザーケースで、ヘッドセットの代わりにスピーカーを使用する場合は、エコーキャンセルをオンにすることをお勧めします。
この機能を有効にするには、次の手順を実行します:
-
<ICAROOT>/config
フォルダーに移動し、module.ini
ファイルを開きます。 -
[ClientAudio]セクションに移動して、
EnableEchoCancellation
パラメーターの値を次のように更新します:EnableEchoCancellation=TRUE
制限事項:
設計上、高品質のオーディオではエコーキャンセル機能は無効になっています。高品質のオーディオについて詳しくは、Citrix Virtual Apps and Desktopsのドキュメントを参照してください。
クライアント側のジッターバッファメカニズムの追加
バージョン2305より、Citrix Workspaceアプリでは、ネットワーク遅延が変動してもクリアなオーディオが保証されます。この機能は、デフォルトで有効になります。
この機能を無効にするには、/opt/Citrix/ICAClient/config/module.ini
構成ファイルに移動し、JitterBufferEnabled=FALSE
を編集します。
アダプティブオーディオ
バージョン2109以降、Citrix Workspaceアプリではアダプティブオーディオがサポートされます。アダプティブオーディオを使用すれば、VDAでオーディオ品質ポリシーを手動で構成する必要がありません。アダプティブオーディオは環境の設定を最適化し、古いオーディオ圧縮形式を置き換えることで、優れたユーザーエクスペリエンスを提供します。アダプティブオーディオはデフォルトで有効になっています。詳しくは、「アダプティブオーディオ」を参照してください。
バージョン2112以降、ユーザーデータグラムプロトコル(UDP)オーディオ配信の使用時に、アダプティブオーディオが機能するようになります。
既知の制限事項:
- アダプティブオーディオには、Streaming SIMD Extensions(SSE)4.xがサポートされているCPUプロセッサが必要です。SSE 4.xがサポートされていないCPUプロセッサでアダプティブオーディオを使用すると、Citrix Workspaceアプリが終了する場合があります。
UDPオーディオの有効化
UDPオーディオ機能を有効にすると、インターネット接続を介した通話品質が向上します。TCPの代わりにUDPを使用します。
バージョン2112以降、UDPオーディオ配信の使用時にアダプティブオーディオが機能するようになります。また、このバージョンから、Citrix Workspaceアプリでは、UDPオーディオのデータグラムトランスポート層セキュリティ(DTLS)プロトコルがサポートされます。その結果、Citrix Gatewayを介してUDPオーディオにアクセスできます。デフォルトでは、この機能は無効になっています。
バージョン2202より、Citrix Workspaceアプリでは、Citrix Gatewayを介したUDPオーディオをサポートします。
UDPオーディオを有効にするには:
-
<ICAROOT>/config
フォルダーに移動し、module.iniファイルを開きます。 - module.iniファイルの[ClientAudio]セクションで、以下のオプションを設定します:
-
EnableUDPAudio
をTrueに設定します。デフォルトでは、この値はFalseに設定されており、UDPオーディオは無効になっています。 -
UDPAudioPortLow
およびUDPAudioPortHigh
に、UDPオーディオで使用されるポート番号の最小値および最大値をそれぞれ指定します。デフォルトでは、ポート16500〜16509が使用されます。
-
- Domain Delivery Controller(DDC)で次のポリシーを設定します:
- 「Audio over UDP」に「Allowed」を設定します。
- 「Audio over UDP real time transport」に「Enabled」を設定します。
-
デフォルトでは、アダプティブオーディオはVDAで有効になっており、UDPオーディオをサポートしています。アダプティブオーディオを無効にした場合、Domain Delivery Controller(DDC)で次のポリシーを設定します:
- 「Audio quality」に「Medium」を設定します。
その結果、生成されるオーディオは中品質となり、UDPオーディオに対応します。
Citrix Gatewayを介してUDPオーディオを有効にするには:
-
<ICAROOT>/config
フォルダーに移動し、module.ini
ファイルを開きます。 -
[WFClient]セクションに移動し、次のエントリを設定します:
EnableUDPThroughGateway=True
-
[ClientAudio]セクションに移動し、次のエントリを設定します:
EnableUDPAudio=True
- Domain Delivery Controller(DDC)で次のポリシーを設定します:
- 「Audio over UDP」に「Allowed」を設定します。
- 「Audio over UDP real time transport」に「Enabled」を設定します。
-
デフォルトでは、アダプティブオーディオはVDAで有効になっており、UDPオーディオをサポートしています。アダプティブオーディオを無効にした場合、Domain Delivery Controller(DDC)で次のポリシーを設定します:
- 「Audio quality」に「Medium」を設定します。
オーディオの損失耐性モード
2402バージョン以降、Citrix Workspaceアプリはオーディオリダイレクトの損失耐性モード(EDT lossy)をサポートします。この機能により、ユーザーが遅延やパケット損失が大きいネットワーク経由で接続している場合に、リアルタイムストリーミングのユーザーエクスペリエンスが向上します。この機能は、デフォルトで有効になります。
VDAバージョン2311以降を使用する必要があります。詳しくは、Citrix Virtual Apps and Desktopsドキュメントの「損失耐性モードを使用したオーディオのサポート(Technical Preview)」を参照してください。
Linux向けCitrix Workspaceアプリでこの機能を無効にするには、$ICAROOT/config/module.ini
構成ファイルでEdtUnreliableAllowed
の値をFALSEに設定し、セッションを再起動して変更を有効にします。
音量の同期のサポート
バージョン2402以降、Linux向けCitrix Workspaceアプリは、VDAとオーディオデバイス間の音量の同期をサポートします。VDAオーディオの音量スライダーを使用して音量を調整して同じ音量をデバイス上でも維持でき、その逆も可能になりました。この機能はデフォルトで有効になっています。
VDAバージョン2308以降を使用する必要があります。詳しくは、Citrix Virtual Apps and Desktopsドキュメントの「音量の同期」を参照してください。
Linux向けCitrix Workspaceアプリでこの機能を無効にするには、$ICAROOT/config/module.ini
構成ファイルでEnableVolumeSync
の値をFALSEに設定し、セッションを再起動して変更を有効にします。
パケット損失補間を有効にしてオーディオパフォーマンスを向上
2402バージョン以降、ジッターバッファメカニズムが向上しました。またSpeexとアダプティブオーディオコーデックの両方にパケット損失補間(PLC)が追加されています。Speexは、音質ポリシーが中品質に設定されている場合に有効になります。VDAとCitrix Workspaceアプリクライアントの両方がアダプティブオーディオコーデックをサポートしている場合、アダプティブオーディオコーデックがデフォルトで選択されます。PLCは、失われたデータパケットの再構築に役立ちます。
この機能強化により、パケット損失耐性とジッター耐性が向上し、UDPオーディオとオーディオの損失耐性モード(EDT Lossy)でのオーディオパフォーマンスが向上します。この機能は、デフォルトで有効になります。
この機能を有効にするには、UDPオーディオまたはオーディオの損失耐性モードも有効にする必要があります。
この機能を無効にするには、$ICAROOT/config/module.ini
構成ファイルでPacketLossConcealmentEnabled
の値をFALSEに設定し、セッションを再起動して変更を有効にします。