グラフィックのポリシー設定
グラフィックセクションには、ユーザーセッションでの画像処理の制御に関するポリシー設定が含まれています。
視覚的無損失の圧縮を使用する
この設定により、グラフィックに対して、真の無損失圧縮の代わりに視覚的に無損失の圧縮を使用できるようになります。視覚的無損失では、真の無損失よりもパフォーマンスは向上しますが、見た目にはわからない程度の軽微な損失が発生します。この設定によって、表示品質設定の値の使用方法が変更されます。
デフォルトでは、無効になっています。
表示メモリの制限
この設定では、セッションのビデオバッファーの最大サイズをキロバイト単位で指定します。
デフォルトの表示メモリ制限は、65536キロバイトに設定されます。
セッションのビデオバッファーの最大サイズをキロバイト単位で指定します。キロバイト単位の容量指定は、128から4,194,303です。最大値4,194,303によって表示メモリが制限されることはありません。デフォルトでは、65536キロバイトに設定されます。表示色数を多くしたり解像度を上げたりすると、必要なメモリの量が増えます。従来のグラフィックモードでは、この最大値に達すると、[メモリが不足したときの表示モード]設定に基づいて色数または解像度が低下します。
高い色数および解像度を使用するセッションでは、大きい値を指定します。必要なメモリの量は、次の式で算出できます。
必要とされるメモリ(バイト単位)=(1ピクセルあたりのビット数を8で割った色数)*
(垂直方向のピクセル単位の解像度)*
(水平方向のピクセル単位の解像度)
たとえば、ウィンドウの高さが600、ウィンドウの幅が800、色数が32ビットの場合、必要なメモリの最大量は(32÷8)*
(600ピクセル)*
(800ピクセル)=1920000バイトであるため、[表示メモリの制限]設定で1920KBを指定します。
32ビット以外の色数は、[従来のグラフィックモード]設定が有効な場合のみ使用できます。
HDXでは、各セッションで必要な表示メモリ量だけが割り当てられます。このため、デフォルト値よりも多くのメモリが必要なユーザーが一部だけの場合にこの設定項目で表示メモリの制限を増やしても、スケーラビリティは低下しません。
メモリが不足したときの表示モード
注: Virtual Delivery Agent 7.xでは、[従来のグラフィックモード] 設定が有効な場合のみこの設定項目が適用されます。
この設定では、セッション表示用のメモリが上限に達したときに、色数と解像度のどちらを下げるかを指定します。
デフォルトでは、最初に色数が低下します。
セッション表示用のメモリが上限に達したときに、表示品質を下げることでメモリ不足による問題の発生を防ぐことができます。色数を下げることを選択すると、表示用のメモリが上限に達したときに、まずより少ない色でのイメージ表示に切り替わります。解像度を下げることを選択すると、まず1インチあたりのピクセル数が少なくなります。
色数または解像度の低下をユーザーに通知するには、[メモリ不足による表示品質の低下をユーザーに通知する]設定を使用します。
動的ウィンドウプレビュー
この設定では、フリップ、フリップ3D、タスクバープレビュー、およびピークウィンドウプレビューモードにおけるシームレスウィンドウの表示の有効/無効を切り替えます。
Windows Aeroプレビューオプション | 説明 |
---|---|
タスクバープレビュー | Windowsタスクバー上のアイコン上にマウスポインターを合わせると、そのウィンドウの縮小版がプレビューとして表示されます。 |
ピークウィンドウプレビュー | Windowsタスクバー上に開いた縮小版上にマウスポインターを合わせると、そのウィンドウがフルサイズで表示されます。 |
フリップ | Alt+Tabキーを押すと、開いているすべてのウィンドウの縮小版が一覧表示されます。 |
フリップ3D | Tab+Windowsロゴキーを押すと、開いているすべてのウィンドウが立体的に重なって一覧表示されます。 |
デフォルトでは、有効になっています。
イメージキャッシュ
注: Virtual Delivery Agent 7.xでは、[従来のグラフィックモード] 設定が有効な場合のみこの設定項目が適用されます。
この設定項目では、セッション内のイメージのセクションキャッシュおよび取得を有効または無効にします。必要な場合にセクションのイメージをキャッシュし、そのセクションを取得すると、スクロールがよりスムーズになり、ネットワーク上のデータ伝送量が減少して、ユーザーデバイス上で必要とされる処理が少なくなります。
デフォルトでは、イメージのキャッシュ設定は有効になっています。
注:イメージのキャッシュ設定は、イメージがどのようにキャッシュおよび取得されるかを制御します。イメージがキャッシュされるかどうかについては制御しません。従来のグラフィックモード設定が有効な場合は、イメージがキャッシュされます。
従来のグラフィックモード
この設定では、リッチなグラフィック表示が無効になります。この設定を使用すると、従来のグラフィック表示が取り消され、WANやモバイル接続での帯域幅の使用量が削減されます。XenAppおよびXenDesktop 7.13に導入された帯域幅の削減によって、このモードは廃止されます。
この設定はデフォルトで無効になっており、リッチなグラフィック表示が提供されます。
Windows 7およびWindows Server 2008 R2 VDAでは、従来のグラフィックモードがサポートされます。
Windows 8.x、10、またはWindows Server 2012、2012 R2、2016では、従来のグラフィックモードはサポートされていません。
XenAppおよびXenDesktop 7.6 FP3以降でのグラフィックモードおよびポリシーの最適化について詳しくは、Knowledge Centerの記事CTX202687を参照してください。
許可される最大表示色数
注: Virtual Delivery Agent 7.xでは、[従来のグラフィックモード] 設定が有効な場合のみこの設定項目が適用されます。
この設定では、セッションで許可される最大表示色数を指定します。
デフォルトでは、1ピクセルあたり32ビットまでの色数が許可されます。
この設定はThinWireドライバーおよび接続にのみ適用されます。これは、プライマリディスプレイドライバーとしてWindows Display Driver Model(WDDM)ドライバーを使用するVDAのような、非ThinwireドライバーがプライマリディスプレイドライバーのVDAには適用されません。プライマリディスプレイドライバーとしてWindows Display Driver Model(WDDM)ドライバーを使用するデスクトップOS VDA(Windows 8など)には、この設定は効果がありません。 WDDMドライバーを使用するWindowsサーバーOS VDA(Windows Server 2012 R2など)の場合、この設定によりユーザーがVDAに接続できない可能性があります。
高い表示色数をサポートするには、より多くのメモリが必要です。メモリ不足時に自動的に色数を減らすには、[メモリが不足した時の表示モード] 設定を使用します。この設定で色数を下げるオプションを選択すると、イメージの表示色数が少なくなります。
メモリ不足による表示品質の低下をユーザーに通知する
注: Virtual Delivery Agent 7.xでは、[従来のグラフィックモード] 設定が有効な場合のみこの設定項目が適用されます。
この設定では、色数または解像度が低下するときにユーザーに簡単なメッセージを表示するかどうかを指定します。
デフォルトでは、メッセージは表示されません。
キューイメージの破棄
注: Virtual Delivery Agent 7.xでは、[従来のグラフィックモード] 設定が有効な場合のみこの設定項目が適用されます。
この設定では、ほかのイメージで置換される中間イメージを破棄するかどうかを指定します。
デフォルトでは、キューイメージの破棄は有効になっています。
有効にすると、グラフィックがユーザーデバイス側に送信されるときのレスポンスが向上します。ただし、中間フレームが脱落するため、アニメーションの動きがスムーズでなくなる場合があります。
圧縮にビデオコーデックを使用する
エンドポイントでビデオのデコードを使用できる場合は、グラフィックの圧縮にビデオコーデック(H.264)を使用できます。[画面全体] が選択された場合、ビデオコーデックにはすべてのデフォルトコーデックが適用されます。[アクティブに変化する領域]が選択された場合、画面上に変更が定期的にある領域にビデオコーデックが使用され、他のデータでは静止画圧縮およびビットマップのキャッシュが使用されます。エンドポイントでビデオのデコードを使用できない、または使用しないように指定すると、静止画像圧縮とビットマックキャッシュの組み合わせが使用されます。[選択された場合ビデオコーデックを使用する]が指定されている場合、選択はさまざまな要素に基づいて行われます。選択方法が拡張されているため、結果はバージョンによって異なる場合があります。
現在のシナリオに最適な設定が自動的に選択されるようにするには、[選択された場合ビデオコーデックを使用する]を選択します。
ユーザーエクスペリエンスと帯域幅の改善のために最適化する場合、特にサーバー側でレンダリングするビデオや3Dグラフィックを多用する場合は、[画面全体]を選択します。
ビデオパフォーマンス、特に低帯域幅が改善されるように最適化しつつ、コンテンツが静的かつ徐々に変更されるようにするためにスケーラビリティを維持するには[領域をアクティブに変更]を選択します。この設定は、マルチモニターの展開でサポートされます。
サーバーCPUの負荷を最適化する場合、およびサーバー側でレンダリングするビデオやその他の画像処理に多くのリソースを消費するアプリケーションがほとんどない場合は、[ビデオコーデックを使用しない]を選択します。
デフォルトでは、[選択された場合ビデオコーデックを使用する]に設定されています。
ビデオのハードウェアエンコーディングの使用
この設定によりグラフィックハードウェア(搭載している場合)を利用して、画面要素をH.264ビデオコーデックで圧縮できます。該当するハードウェアが利用可能でない場合、VDAはソフトウェアビデオコーデックを使用してCPUベースのエンコーディングにフォールバックします。
このポリシー設定のデフォルトのオプションは [有効] です。
複数のモニターがサポートされます。
H.264デコーディングをサポートするCitrix Receiverは、NVENCハードウェアエンコーディングで使用できます。
非可逆圧縮(4:2:0)と視覚的無損失圧縮(4:4:4)がサポートされます。視覚的無損失(グラフィックポリシー設定 [視覚的無損失圧縮を使用する])には、Receiver for Windows 4.5以降が必要です。
NVIDIA
NVIDIA GRID GPU の場合、ハードウェアエンコーディングは、HDX 3D Pro モードの VDA for Desktop OSでサポートされています。
NVIDIA GPUは、NVENCハードウェアエンコーディングをサポートする必要があります。サポートされているGPUの一覧については、「NVIDIAビデオコーデックSDK」を参照してください。
NVIDIA GRIDには、ドライバーのバージョン3.1以降が必要です。NVIDIA Quadroには、ドライバーのバージョン362.56以降が必要です。NVIDIAリリースR361ブランチからのドライバーをお勧めします。
VDAが(HDX 3D Proではなく)標準モードで構成された場合の機能である無損失テキストには、NVENCハードウェアエンコーディングとの互換性はありません。HDX 3D Proモードで有効になっている場合、無損失テキストはNVENCハードウェアエンコーディングよりも優先されます。
アクティブに変化する領域に対するH.264ハードウェアコーデックの選択的使用はサポートされません。
Intel
Intel Iris Proグラフィックプロセッサの場合、ハードウェアエンコーディングは、VDAs for Desktop OS(標準モードまたは HDX 3D Pro モード)およびVDA for Server OSでサポートされています。
サポート対象は、Intel BroadwellプロセッサファミリのIntel Iris Proグラフィックプロセッサ以降です。Intel Remote Displays SDKバージョン1.0は必須であり、IntelのWebサイト「Remote Displays SDK」からダウンロードできます。
無損失テキストがサポートされています。
[領域をアクティブに変更]に対するH.264ハードウェアコーデックの選択的使用がサポートされています。
対応は、Windows 10およびWindows Server 2012以降です。
3D Pro モードのVDAで、Intel エンコーダーは最大で8つのエンコーディングセッションを可能にする優れたユーザーエクスペリエンスをもたらします(たとえば、1人のユーザーが8つのモニターを使ったり、8人のユーザーが各自モニターを使用するなど)。8つ以上のエンコーディングセッションが必要な場合は、仮想マシンが接続するモニター数を確認してください。優れたユーザーエクスペリエンスを維持するために、管理者はこのポリシー設定をユーザー単位またはマシン単位に構成できます。